2019年7月

人工知能を活用して作られた世界初のスピリッツ商品

今年9月、スウェーデンのウイスキー蒸溜所Mackmyraが、人工知能(AI)を活用して作られた世界初のウイスキー「INTELLIGENS (700ml, ABV46.1%, £59.90=約8,300円)」を発売した。開発にあたっては、AI活用のアドバイスを行うフィンランドのFourkind社の協力の元、Microsoft社のクラウドプラットフォーム「Azure」のAIサービスが利用された。今回AIが使われたのは、ウイスキー製造においても手がかかり、かつ味を決める重要なブレンド工程。既存のレシピ(受賞歴のあるもの含む)や売上データ、消費者の嗜好などをAIに学習させ、高品質かつ消費者に人気を集めそうな7000万を超えるウイスキーのレシピを予測、自動作成させた。Mackmyraは、このAIによる一連の作業はあくまでもブレンド工程の一部であり、従来のマスターブレンダーの役割に取って代わるものではないことを強調。テイスティング、レシピの最終的な決定など、人の感覚が不可欠な工程は経験や知識の豊富な職人に担わせる、いわば人間と人工知能とのコラボレーションによる新しいウイスキーづくりを目指している。 人工知能をスピリッツの製造に活用する動きは欧州で広がりを見せている。今年11月にはイギリスのジン蒸留所Circumstance Distilleryが、AIを活用して開発した世界初のジン「Monker’s Garkel (500m, ABV40%, £39=約5,400円)」を発売。英国内のテクノロジーコンサルタント2社と協力し「Ginette」と呼ばれるAIツールを開発、ジンの製造に必要な植物やレシピ、500種以上のジンの名前(銘柄)を学習、分析させ、レシピや商品名の考案、ラベル作成に至るまでの工程にAIを利用した。 スピリッツ類の製造に人工知能を活用するメリットとして、人間がマニュアルで製造するより時間が短縮できる点、また、膨大なデータをもとにして、これまでは考えられなかったようなレシピを開発できる点が挙げられている。
(参照:www.foodbev.com/news/microsoft-helps-mackmyra-to-develop-ai-generated-whisky/ , https://www.ai-whisky.com , www.foodbev.com/news/circumstance-distillery-launches-gin-created-using-ai-technology/