2020年12月

英国のホップ農家、存続の危機に直面

英国では、新型コロナによるロックダウン中のパブ閉鎖による影響で、パブでのビールの消費量が大きく落ち込み、ホップの余剰在庫を抱え込むこととなった醸造所が増加。その多くが、経済的な理由などから契約農家からの来年収穫分のホップの購入をためらい、2020年6月時点で来年のホップの収穫予定量の40%分しか予約が入っていないという、ホップ農家にとって厳しい状況が伝えられた。今秋までに状況が改善しなければ、英政府がホップの余剰生産分を買い上げるなどの救済措置を取らない限り、英国内のホップ農家は作付面積の大幅な削減、あるいは廃業を余儀なくされることとなる。政府の経済的救済が必要となる余剰ホップの量は800トン、ビールにして7億パイント分にものぼるという。特にエールは全生産量の3分の2がパブで販売されており、今回のパンデミックで受ける影響は大きい。ビターやスタウト、IPAなどの伝統的なエールの原料として欠かせないGoldingsやFugglesなどの英国原産の品種を作る農家数は年々減少しているというが、それらの農家がいなくなれば、英国の伝統的なエール自体が存続の危機に晒される、あるいは輸入ホップの影響で味が変わってしまう恐れがあるという。
(参照:https://inews.co.uk/news/consumer/uk-pub-closures-traditional-british-pint-hop-growing-risk-471309, https://technocodex.com/hop-industry-risks-collapse-as-pub-shutdowns-hit-demand/←※引用元記事:Financial Times)